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打ち上げ花火を撮る!押さえておきたい7つのポイント Ver.1.2

花火シーズンまっただ中、いいショットを狙える季節になった。ということで美しい花火をキレイに撮るための方法をまとめた。


Canon EOS 7DおよびCOSINA VoightLander ULTRON 40mm F2 SL II (キャノンEF) シャッター速度13秒 F13 焦点距離35mm換算65mm ISO100 トリミング済

Canon EOS 5D MarkIIおよびCanon EF L100-400mm F4.5-5.6L IS USMシャッター速度6秒 F16 焦点距離400mm ISO400 トリミング済
都市上空に出現した火の玉というか水木しげる妖怪のような花火。煙が尾を引いているようで面白い。


第1のポイント:場所取り
これがなかなか難しい。多少打ち上げ場所から遠くても前方に障害物のない場所を狙いたいものだ。
なお、撮影ポイントは会場正面風上がベスト。ただし、ベストポジションは当然混む。混雑しすぎて撮影自体が困難になるのでは本末転倒なので、そこは適宜判断を。
なお、待ち時間すべてを立って待っているのは辛いので、軽量なイスを会場に持参したい。

折りたためば大きめのショルダーバッグに収納可能、樹脂製で座るだけでなく乗って脚立としても使える。今では撮影行に欠かせないアイテムとして重宝している。


第2のポイント:プログラムの入手
現地会場に行かなくても花火大会公式サイトで公開されていることもあるので、そこで調べておくこと。スマートフォンで直接公式サイトを見ながら、というのでも可。また、大規模な花火大会ならテレビなどで中継されることもある。中継で打ち上げタイミングを図りながらシャッターを押せば外しも少なくなる。


第3のポイント:三脚
手持ちでは良い写真は撮れないので、安くてもいいので三脚を使う。三脚は撮影場所に安定して設置すること。場所取りができたら三脚を設置して撮影に備えるワケだけど、三脚の足下がぐらつくと撮影時にブレが発生する。なお、三脚使用時は手ブレ補正をオフに。

右のカメラスタビライザーはコンデジや軽量デジタル一眼レフに向いた折りたたみ式小型携帯四脚。オフィスや自宅の窓辺で撮影するならこれもいいかも。

※屋外撮影の場合、三脚の下にビニールシートを敷いておくと何か落とした際に捜しやすい。その際懐中電灯もあった方がいい。


第4のポイント:持って行くレンズ
花火の大きさに合わせてレンズを選ぶこと。広角レンズを持って行ったら小さくしか写らなかった、とか望遠レンズだけ持参で全ての花火が画面からはみ出してしまい思い通りの絵にならなかった、とかいろいろ。ここはよく考えてレンズを持って行きたい。フォーカスは無限遠固定になるので昔のマニュアルフォーカスレンズで撮るのも面白い。知人は無限遠からピントが動かないようにテープでフォーカスリングを固定して撮影しているがこの手もありだ。
というか、今年の隅田川花火大会で後半ピントリングが何かの拍子で動いてしまい、ボケボケ写真連発に…。必ず明るいウチに遠方の建物でライブビューでピントを確認し、試写をして合焦を確認したらそのままテープで留めてしまうのがいい。

下記画像は打ち上げ場所との距離と35mm換算の焦点距離による大きさの違い(ノートリミング)。もちろん、絵作りで大輪の花火が画面からはみ出すようにしたい、とか風景全体の中で花火を小さく演出したいとかいろいろな局面があるだろうから、あくまでもご参考にして頂ければということで。

打ち上げ場所から距離2500メートル、400mmにて撮影。

打ち上げ場所から距離800メートル、40mmにて撮影。
撮影地が遠ければ混雑は避けられるが、途中の水蒸気によって色が濁りがち。なるべく近い場所で撮影する方がいいのは言うまでもない。

なお、撮影時に余計なフレアを避けるため、プロテクトファイルターは外すこと。また、レンズフードは街灯などからの余計な光をカットするため、できるだけ装着すること。


第5のポイント:レリーズ
花火の撮影時にレリーズを使うこと。シャッターボタンをセルフタイマーで押すのもアリだけど、カメラに触ると向きが変わってしまうことがある。画像はシャッターボタンを押した際の震動が画面にでてしまったもの。入手すれば長く使えるのでここは揃えておきたい。
 
なお、レリーズは機種別に購入する必要があるので必ずご確認を。


第6のポイント:露光時間
露光時間は基本的に、マニュアルモード。ISO 100ならF11でシャッター速度10秒前後、ISO 200ならF16で同じく10秒を目安に各パラメータを増減してイイ感じの時間を得ること。露光時間が短いと花火の雰囲気が出ないし、長すぎると露出オーバーになってなにが写っているか判らなくなることも。なお、NDフィルターを使うと光量を絞りつつ長時間露光が可能になる。ND8で3絞り分となり、連発花火で画面が露出オーバーになることを防ぐことができる。事前にプログラムを入手し、次の花火に合わせ、露光時間などを調整できればベスト。なお、RAWで撮影すると少々の露光オーバーは現像時に調整できるのでお勧めだ。


Canon EOS 5D MarkIIおよびCanon EF24-105mm F4L IS USM シャッター速度6秒 F8 焦点距離73mm ISO100 花火中央部が露光オーバーだ。

もし露光オーバーになりそう、と感じたらレンズの前に黒い布(レンズ保護の黒いスポンジなどでもOK)をかざして露光時間を短くするというワザも。下の画像は連発花火が明るすぎると感じたので撮影途中でレンズ前を黒い保護スポンジで覆って遮光したもの。


Canon EOS 5D MarkIIおよびCanon EF24-105mm F4L IS USM
シャッター速度6秒 F8 焦点距離105mm ISO100 トリミング済


第7のポイント:構図
例えば打ち上げ花火を打ち上げ場所より上空の大輪の花まで収めるなら構図も縦に!ということ。縦に長い被写体はカメラ位置を縦にすることで構図に安定性が生まれる。打ち上げ花火も基本は縦長の被写体になることが多いので、ということ。スターマインみたいに横に長い仕掛け花火なら横構図がいいというわけだ。なお、高解像度で撮影してあとでトリミングでもいいだろう。要は自分が楽しめればいいのだから。


Canon EOS 7DおよびCOSINA VoightLander ULTRON 40mm F2 SL II (キャノンEF) シャッター速度3秒 F13 焦点距離35mm換算65mm ISO100 トリミング済


Canon EOS 5D MarkIIおよびCanon EF24-105mm F4L IS USM
シャッター速度10秒 F10 焦点距離105mm ISO100 トリミング済

◎付記

花火撮影はプロカメラマンや他の人の作例を見ていろいろと勉強するのがいいショットを写すイチバンの早道かと。
お勧めの本はいくつかありますが、作例の多さでは下記の2冊がお勧め。

中橋先生の『日本の花火撮影ガイド』は日本各地の花火大会の美しい作例とテクニックが掲載、泉谷先生の『日本列島四季の花火百華』はデジカメでの撮影テクで写実的だけでなく、幻想的に撮るための方法など応用的な写し方まで載っていて大変参考になる。

なお、大量に撮影するなら充分な容量のメモリーカードを予め用意しておきたい。会場で花火打ち上げ途中にメモリーカードの残量不足になり、最初に撮影した画像を消すのはかなり屈辱的(経験者)。