撮影マニアックス

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カシミール3Dを星景写真撮影に利用する

今年の夏は公私とも多忙で、連休を機会にまとめてブログを更新中、ちょっと手抜きが過ぎるか>俺。

我が家は富士山がいい眺めなのだが、夏は更に夜間登山の懐中電灯の明かり、山小屋の灯火なども条件が良ければ見ることが出来る。
ということで、沈む月と富士、山小屋の灯火を写し込んで比較明合成(コンポジット)で作ったのがこの一枚。明け方の薄明に映し出される残雪、ご来光のための登山客を宿泊させる山小屋の灯り、そして富士斜面に沈む月… 日の出まで数十分、明け方のわずかな時間の間富士山周辺に存在したものを凝縮して作った写真がこれだ。


CANON EOS 7D + EF 70-300mm F4-5.6L IS USMテレ端をさらにトリミング。

ちなみに撮影時期は7月なので、まだ谷間に残雪が残っているが、さすがに8月になると消滅する。また、夏は空気の濁りが強くなるが、台風一過で澄み切ったタイミングも結構狙い時だと思う。ただ、あまりにも地上が荒れ模様だと登山客が減るので山小屋の灯りも少なくなったりすることも。ただ、本当に大気が澄み切っていると登山客のカンテラや懐中電灯の明かりで登山道が判ることもある(残念ながら写真はないんだけど)。

なお、比較明合成(コンポジット)のソフト紹介と操作法はこちら

カシミール3Dによる星景撮影

ちなみに富士山に月が沈むタイミングの割り出しはカシミール3Dを使用している。

さて、カシミール3Dは本来、観測点からどのような山岳が見通せるか、あるいは山頂から見える風景をシミュレートしてパソコンで表示する無料のWindows用ソフトウェアなんだけど、最近のバージョンは太陽と月の出没を付属の眺望ソフト「カシバード」で表示可能になっている。
 以前、関戸橋花火大会でダイヤモンド富士を追いかけて撮影している方とお話する機会があったが、その方もこのソフトの日没位置表示機能でダイヤモンド富士を写せる場所を割り出していると言ってましたね。そして月没位置表示もサポートされたので、私のように自宅からの撮影がメインの「お座敷星景写真家」にとってもより便利なツールになったと言うわけですね。

ちなみにカシミールは地図がないと撮影ポイントから正確な月の沈む日時や位置を割り出せないので、地図が付属している書籍版か、ネットで配布されている無料のカシミール本体に別途有料のオンライン電子地図サービスや有料地図データなどを組み合わせて利用する必要がある。
なお、地図はなるべく地名や地形の変化に対応した最新のモノを使うようにしている。ウチはVAIO typePに入れて旅先で使うため、書籍付属版を購入して利用している。なお、付属の地図データは地域ごとに分かれているので、自分の撮影したい地域に併せて購入する必要があるので注意して欲しい。
首都圏近傍で撮影するなら下記の「改訂新版カシミール3D入門」を選ぶと良いだろう。

なお、同梱のDVDに入っている地図は下記の通り。
●50mメッシュ標高データ(全国)
●2万5000分の1地形図(関東甲信越)
●5万分の1地形図(関東甲信越)
●20万分の1地形図(全国)

関西地方など西日本地域の撮影用なら下記がオススメだ。

本書の同梱のDVDに入っている地図は下記の通りだ。
●50mメッシュ標高データ(全国)
●2万5000分の1地形図(名古屋~沖縄)
●5万分の1地形図(名古屋~沖縄)
●20万分の1地形図(全国)


カシミール3Dの利用方法

まずはカシミール3Dと地図をインストールする。インストールが済んだら、撮影したい場所を決める。今回は例として都庁の展望台で富士に沈む月を撮影する、という設定にしてみた。

STEP1 地図上、都庁の場所で「カシバード」を起動する。


STEP2 カシバードを起動したら、まず富士を拡大描画させる。レンズの焦点距離135mmくらいが範囲がちょうどいいだろう。もちろん、実際の富士に沈む月を大きく写そうと思ったら300mmクラスの望遠レンズが欲しくなると思うが、あくまでも最適な設定を探すための手段とご理解頂きたい。富士を中心に「確認」で描かせたの下の画像だ。


STEP3 富士山を描かせたら上部アイコン「太陽 月」をクリックし、「太陽/月の位置と軌跡」ウィンドウを開く。「太陽/月の位置と軌跡」ウィンドウ内の「月の入り詳細」オプションボタンをクリックしてから、目的の月日を選ぶ。ここでは2011年11月1日を選んでみたが、月齢5.3の月が21:30過ぎから富士に沈む様子が再現されている。もちろん、これは一例なので他の条件(撮影場所や日時、月齢、被写体)を設定することも可能だ。例えばダイヤモンド富士の撮影ポイントの捜索にも使える(事実使っているけど)。使い方次第でいくらでも便利なソフトなのがこのカシミール3Dと言えるだろう。