撮影マニアックス

天体写真や雷写真がメインのブログ

名古屋城

トートツだが天守閣がある街が昔から羨ましかった。
ウチの田舎は一応城下町で、中世から使われていた要害クラスの小さな城があった。明治維新で一部壊し、なんと終戦後に全部壊してしまった。実利を求める街の気風がそうさせた、とか市史に書かれているが、石垣や土塁を崩し堀を埋め立て、こともあろうに住宅地にしてしまったのだ。まあ、規模も小さく陣屋があるだけだったから、現代まで残っていても大した観光資源にはならなかったと思うが、さりとてやはり歴史オタ的には勿体ないと思うわけだ。

先日、所用で名古屋に出向いたが、模擬天守とは言え、名古屋城の立派な天守閣がとても眩しかった。昨年放映された「刀語」では尾張城という名前で登場するが、あちらはデフォルメされていて、あまりに頭でっかちな城として描かれていたが、さすがに実物の城はバランスもよく美しい。
ちなみに城撮り!ということで、本来なら一眼や三脚などなど旅撮影フルセットを持って行きたいところだったが、さすがに撮影行ではなかったので機動力優先でGR Digital IIでの撮影と相成った。コンパクト機ながらHDR撮影用にブランケット撮影が出来るので本当に便利なカメラだ。


RICOH GR DIGITALII F2.4 焦点距離6mm(換算28mm) ISO100 HDR化にPhotomatix PRO 3.0フォトレタッチCapture NX 2使用

やや遠くからだとこんな感じだな。

RICOH GR DIGITALII F2.4 焦点距離6mm(換算28mm) ISO100 HDR化にPhotomatix PRO 3.0フォトレタッチCapture NX 2使用

ちなみに三脚代わりにはこれを使用。着けっぱなしでもそれほど邪魔にならないし、撮影時に好みの撮影角度へのホールドが出来るのでホント重宝している。なお、固定用のヒモがちょっと切れやすいのでそこが難点、ぜひ次の製品では改良して欲しいところだ。

閑話休題、そもそも名古屋城が模擬天守になったのも、戦時の空襲によるものだから、名古屋人自身は大事にしていたということになる。今住んでいる街には代官所の跡地くらいしかないし、江戸城は天守台のみ、川越城は御殿だけだし…と本格的な城郭が近所にあればな、と詮無く呟いてみるのであった。

富士と影法師

Canon EOS 7DおよびCanon EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM シャッター速度1/1600秒 F4.5 焦点距離35mm換算160mm ISO160

夕暮れ時、富士をぼーっと眺めていたら富士の左側に大きな影法師が現れた。
すでにウチのあたりじゃダイヤモンド富士のシーズンは終わってしまったけど、まだまだ富士のそばに太陽があるので、晴れていると影法師を見られるんだよね。
ちなみに「チョコベー」という大昔のお菓子のCMで影法師をモチーフにしたものがあったけど、大きな建物や山の影を見るたびに意味もなくあのCMを思い出してしまうんだよなあ。

※追記
今日の新聞を見たら「二重富士」などと話題になっていた。結構みんな見ているんだなあ。

空挺降下訓練始め

もう2週間も前のイベントでいささか旧聞ではあるが、首都圏の年初を飾るミリタリーイベント習志野駐屯地「降下訓練始め」を撮影して来た。習志野の空挺降下訓練はじめの醍醐味は、狭い演習場故の間近にメカや隊員のアクションを体感することができることだ。頭上で輸送機から降下する空挺隊員、砂塵を巻き上げるヘリからのリペリング降下、間近で展開される制圧作戦… 富士総合火力演習に対し空砲や煙幕使用のある意味で軽めの演習ではあるが、それだからこそ住宅密集地でも体験できるわけなのだな。


Canon EOS 7DおよびCanon EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM シャッター速度1/400秒 F8 焦点距離35mm換算416mm ISO100
フォトレタッチCapture NX 2使用
C-1輸送機から飛び降りる第一空挺団隊員、高度は500mくらいか…



Canon EOS 7DおよびCanon EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM シャッター速度1/1600秒 F5.6 焦点距離35mm換算352mm ISO250
落下傘が開いたところ。以前、担いで見たことがあるが落下傘本体だけで15kg、予備傘が7kgと結構な重さだった。



Canon EOS 7DおよびCanon EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM シャッター速度1/1600秒 F5.6 焦点距離35mm換算352mm ISO250
まるで昔話の妖怪のようなギリースーツで偽装した陸自隊員がUH-1に登場して飛来した。なお、シャッター速度が速すぎで本来は失敗写真だなw



Canon EOS 7DおよびCanon EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM シャッター速度1/250秒 F10 焦点距離35mm換算608mm ISO100
フォトレタッチCapture NX 2使用
八千代緑が丘駅方面の大規模マンション群を背景に樹木を掠めて飛行するAH-1S。まるで一瞬、大都市の公園内で戦っているような錯覚に陥った。



Canon EOS 7DおよびCanon EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM シャッター速度1/250秒 F8 焦点距離35mm換算640mm ISO100
フォトレタッチCapture NX 2使用
着弾に見立てた発煙筒が焚かれた「戦場」に急行する救難ヘリ。負傷してもすぐに救難ヘリが飛んでくる、という態勢は、民主主義国の軍隊では士気を維持するために重要な要素なんだろうな。


この日の演習自体は1時間くらいで終了、好天に恵まれ、風も弱く暖かい絶好の撮影日和だった。地元の方も多数来場しており、「地元の祭り」という印象でしたね。



余談
習志野駐屯部隊演習場は、北習志野、八千代台、津田沼地区に囲まれた場所にある。戦後、周辺が工場や住宅地になったことで、結構手狭な印象がある場所だ。


大きな地図で見る

私は北習志野からのルートを選択、「津04」に乗車、降車するバス停は「自衛隊前」にしようかと思っていたが、演習場入場門に近い「習志野」で下車。無事入場待ち行列の最後尾に付くことができた。ちなみに2011年の開門は8時半、早く行っても入場時間までは一切場所取りはできないのでご注意を。
また、2011年は演習場内の移動でシャトルバスが使われていた。

日本上空を飛翔する「こうのとり」

先日JAXAによって打ち上げられ、ISSとドッキングするために飛行しているHTV2号機「こうのとり」を撮影することが出来た。ISS(画像内「ISS」表記)が頭上に現れ、約15分後に今度は「こうのとり」(画像内「HTV」表記)が出現した。「こうのとり」は自転しているためか、不規則な明るさで輝きながら夜明けの空に消えていった。

なお、下記の画像は比較明合成を作成、今回は「SiriusComp」を使用している(作者に感謝)。

Canon EOS 5D MarkIIおよびCanon EF24-105mm F4L IS USM シャッター速度20秒×63枚 F5.6 焦点距離24mm ISO200 一部トリミング、ホワイトバランスは蛍光灯。
HTV飛行中に東の空が明るくなりかけたので、泣く泣くHTV撮影画像最後の2枚は合成元から除去している。また、散在流星が写っている(画像内「METEOR」表記)。

ちなみに飛行位置や高度の予測にはiPhone用衛星位置予測アプリ GoSatWatch を使用した。

(左)GoSatWatchの画面。ISSが地平線に没しようとしているところだ。(中)当日、観測可能な衛星をリスト表示させたところ。他にも見える衛星があったが、ISSおよび関連ミッションの衛星のみに絞ってある。(右)事前シミュレートで「こうのとり」の軌道を表示させたところ。この回は高度が低く条件が良くないことが分かる。


地球上のどこを飛行しているかも地図から知ることができる。

GoSatWatchは最新の衛星軌道要素を随時配信、常に最新の情報で計算される。衛星撮影や観測には欠かせないアプリだ。なお、ISSやHTVだけでなく、スペースシャトルや可視飛翔体等の飛行位置や出現日時も計算可能だ。
GoSatWatch - GoSoftWorks

影富士HDR風味

今日も冬晴れで富士の向こうへと太陽が沈んでいった。たなびく雲が噴煙のような印象。
そろそろダイヤモンド富士の季節というところだ。

Canon EOS 7DおよびCanon EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM 焦点距離35mm換算160mm
HDR化にPhotomatix PRO 3.0フォトレタッチCapture NX 2使用

富士二題

月食に備えた機材の点検で富士を撮ってみた。


Canon EOS 7DおよびCanon EF L100-400mm F4.5-5.6L IS USM シャッター速度1/320秒 F11 焦点距離35mm換算265mm ISO100
フォトレタッチにDPP使用
日没の赤富士。光線の加減で印象的なグラデーションが発生している。


Canon EOS 7DおよびCanon EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM シャッター速度20秒×168枚 F5.6 焦点距離35mm換算160mm ISO100
フォトレタッチCapture NX 2使用
月光に照らされた風雪の富士。露出した画像1時間分を比較明コンポジット合成で。
しかし東京でも日周運動で星を写せるとは…

誰でもできる比較明コンポジットを使ったかんたん流星撮影

「お座敷星景写真家」ことSTARFLEETです。検索で飛んでくる人が多いのでウチでやっている流星撮影/星景撮影の方法をメモ的にまとめてみましたのでご参考まで。記事を書いたのが冬なので寒さ対策メインですが、基本的にはオールシーズンで使えるワザかと。多少なりとも読んだ方のお役に立てれば幸いです。

☆☆☆

ふたご座流星群など冬の流星観測は寒さが観測の大敵。でも撮りたいって人には、カメラを放置しても写せるこの超手抜き撮影術をおすすめしたい。使用するのはカメラと三脚、そして比較明コンポジットソフト。


比較明コンポジットとは?

日周運動を天体写真で写す場合、以前は長時間シャッターを開放して撮影するのが一般的だった。ただし、この方法では画像にデジカメの場合はノイズが乗る、光害の多い場所では長時間露光に伴いバックグラウンドが明るくなるなど弊害が見られた。そこで短時間露光画像を複数枚合成することであたかも長時間露光と同じような効果を得ようとするのが比較明コンポジット(合成)という手法だ。短時間露光なので、露出時間が短いのでノイズ発生を少なくできること、天体と地上の風景は光量が異なり単純に撮影するといずれかが白飛びしがちだがそれを防げることなどのメリットがある。かつてはPhotoshopなど高価なソフトじゃないと作成できなかったけど、最近はいいフリーソフトが多数登場しているので手軽に作れるのがありがたい。作者の方々にはこの場を借りて謝意を表したい。


比較明コンポジットで撮影した画像。左はロシアの人工衛星、右は夏、夜間登山たけなわの富士に沈む月。


用意する機材

(1)デジタル一眼レフ
デジタル一眼レフはここ2〜3年以内の機種なら大抵大丈夫かと思う。最新のD7000とか60Dクラスならバッチシ撮れるハズ。要はレリーズが使えてバッテリーの持ちが良い機種ならなんでもいい。コンデジでもシャッター速度マニュアルで連写できる機種ならOK。

(2)広角レンズ
流星はどこを飛ぶか分からないので、広角レンズでできるだけ広い範囲を写し取るようにすると画角内に流星が収まる可能性が高くできるかと。なお、開放F値が明るいレンズがおすすめ。ただ、広角レンズだと流星は小さく写りがちなので、ややバクチになるけど流星を大きめに写したい場合は35mm換算50mmの標準レンズなどで狙うのもありだ。
ちなみに魚眼レンズではトキナー、あるいはシグマの評価が高い。ウチはより廉価なウクライナレンズを使っているけどハレーションがキツイので、できれば国産品が欲しいと思っている。

(3)レリーズ(リモートスイッチ)
リモコン式ではなくケーブル式で、値段は数千円くらい。一回買えばほぼ一生モノ、花火撮影などにも使えるので揃えておいて損はない。

(4)三脚
がっしりした頑丈なものがベスト。ウチは旅先へ持って行くことを考えてジッツオの軽量で頑丈なトラベラーを使用中。重さ2kgちょいなのでカメラ込みバッグ一つで移動できる優れモノだ。高くてもアマチュアレベルの使用頻度では大事に使えばほぼ一生モノと思っている。

(5)バッテリー
何百枚も連写することになるので必ずフル充電を。バッテリーグリップがあればバッテリー2個併用で動作時間を延ばせる。電源が取れる場所ならACアダプタを利用するのもアリ。

(6)大容量メモリ
16GBとか32GBがあれば心置きなく撮影可能。最低16GBは欲しい。

(7)その他
星座早見ソフトが動くスマートフォンネットブック赤色光になる懐中電灯夜露防止用のカイロ暖かいお茶発熱系股引や手袋など防寒具

例えばiPod touchを持っているなら、星座早見ソフトとしてアストロアーツiアプリ「iステラ」がおすすめだ。流星群の放射点をiステラ上で表示する機能があるので、どこを見ればいいかが一目で分かる。
赤色灯をもつ懐中電灯はカメラのダイヤルやピントの確認には必須。カイロは使い捨てカイロを輪ゴムでレンズに止めて暖めると結露を防げる。
水筒は中に熱いコーヒーやお茶を入れて時々呑むと体が冷えずに済む。紹介しているワンタッチ系は取り扱いしやすいのおすすめ。ヒートテックなどは知らず知らずに下半身が冷えるのを防ぐ。冬期の観測は、未明から明け方はホント冷えるから必需品。


撮影場所

視界が開けていて空がなるべく暗めの場所がベスト。比較明合成を使う場合、それほど長時間露光する訳ではないのであまり神経質にならなくてもいいと思う。ただし、構図の中に街灯やスポーツ施設、ネオンサインなどの強力な光源が入るとゴーストが出てしまうので、極力入れないようにしたい。自宅以外、公園や河原で撮る場合はその場所の治安も考慮すること。手抜き撮影ということで私は毎回自宅ベランダから。


撮影方法

1.三脚をがっしりとした地面に設置する。軟弱な地盤は撮影中に三脚が動いたり風の影響を受けたりするので不可。また、伸縮式三脚の場合、足をきっちり必要段数だけ伸ばして微動だにしないようにすること。

2.カメラを三脚に固定し、写したい方角に向ける。流星群の場合、「ふたご座」「ペルセウス座」流星群の場合は、星座名が流星群の放射点になるので、オリオン座やはくちょう座など流星群の放射点からやや離れた星座にカメラを向けると良い。「しぶんぎ座」の場合は、おおぐま座(北斗七星周辺)、うしかい座などにカメラを向けると良いだろう。星座の位置は星座早見ソフトで確認する。

3.レリーズを取り付ける。カイロも輪ゴムなどでレンズに取り付ける。小さめのタオルなどで覆い、直接カイロが風で冷えないようにすると万全。

4.レンズをマニュアルフォーカスで無限遠に設定する。絞りは開放、あるいは一段絞りくらいで。

5.ISO感度、露光時間を決める。空の明るさなどの条件で設定値は変わってくるが、下記の写真はF4でISO感度250、10秒露出で写している。この画像はできるだけ連写枚数を稼ぐため、RAWは使わずJPEGのLを使用している。撮影モードは連写モードで。

5.レリーズでシャッターボタンを押し、まずは1枚試し撮りして露光時間やピントなどがちゃんとあっているか確認する。問題なければレリーズロックでそのまま連写しまくる。後は放置して室内で熱い茶を飲むなり、その場でじっくり空を眺めるなりして待つ。北極星を中心に写すなら1〜3時間くらい撮影すると日周運動がわかって絵的にいい。


画像処理

1.まず比較明合成ソフトを用意、私はまさのぶさんの作のLightenCompositeを利用させて貰っている(感謝)。

2.LightenCompositeを起動する。合成元のフォルダと合成後の画像の保存先を指定する。もちろん合成元のフォルダには、必要な枚数だけの元画像を放り込んでおく。

3.「実行」ボタンを押すと作業開始、プログレスバーが右に伸びていくので暫く待つ。このとき、枚数にもよるが一瞬で作業が終了するような場合はファイルの読み込みなどに失敗している可能性があるので調べる。

4.「完了」というメッセージが出たら終了。保存先として指定したフォルダに画像ができているはず。

これで下記のような画像が生成されているハズだ。


北天方向を10秒露出で撮影した画像を約1時間40分ぶん合成した画像。画像左側に流星が写っている。2010年12月15日撮影。


上の画像を拡大した画像で、二等級クラスのふたご座流星群が写っている。他にも多数流星が出現していたが、空が明るくて写っていない、あるいは画角の外を流れたなどでその多くを写せなかったことが残念だった。

ちなみに撮影当日は夜半に急に濃い霧が出現、カメラやレンズが夜露でびっしょりと濡れてしまった。もちろんレンズが曇って写したモノはすべてボケボケにorz カイロを切らしていたこともあったが、ちょっとの油断で大失敗だった…